2016
10.24

感想を書かずに返却を繰り返す日々

Category: ■読み物
週に5冊ほどを借りては返している。
読んではいるけど、写真を取り忘れていたり、感想を書くのが面倒で、遠ざかっていました。
職場のボスは本屋で新刊本を買うひとなので、私にも「読む?」とまわしてくれる。話題になった本を図書館で借りると200人待ちとか当たり前なので、大変ありがたいデス。

第155回の直木賞を受賞した「海の見える理髪店」は荻原浩さんの著。
6つの短編はどれも家族の物語で、著者はあえて言えば「人間と時間」をがテーマとのこと。
表題作については多く語られているし、私的にはベストな1編ではなかったので省略しちゃう。娘を交通事故で亡くした夫婦に、ある日着物のカタログが届いたことから始まる「成人式」が一番胸を打ったかも。同じ年頃の娘がいるからかな、夫婦の突飛な思いつきもさほど意外には思えない。子供と一緒に暮らす時間なんて過ぎてみればあっという間で、ましてや死んでしまった家族にはどんな気持ちももはや届かない。この本の中に登場するすべての家族がかかえる後悔の気持ちや、もどかしさ。家族だからこその複雑な思いが交差し、でもどの短編も読んだ後には希望や暖かい気持ちが残されるわ。


こちらは第155回の芥川賞ね。村田沙耶加さん著「コンビニ人間」。
正社員として就職もせず、結婚もせず、コンビニでバイトする。
まわりのひとをびっくりさせないような発言、ふるまい、服装などにいつも気を遣っている主人公を読んで、これが「発達障害者(多分アスペルガーのひと)の思考」なんだなあと、しみじみ思う。いや、差別的な発言をするつもりは毛頭ないけど、家族に2人も発達障害者がいる私としては、彼女の発言に家族が仰天する様子や心配するところや、深く溜息をつくエピソードは日常なので。
これを貸してくれたボスは白羽君がものすごくいやだったと言っていたけど、私には彼の屈折した思考の方がまだ理解しやすかったかも。


桐野夏生さん著、「猿の見る夢」。
全作の福島原発にからめた「バラカ」よりはよかったけど、優柔不断な中年の、自分勝手な思考に怒りが爆発しそうだった。保身と女性に対する性的関心が頭のほとんどを占めており、読む方としてはまったくいらいらさせられたわ。桐野さんはどっかしら精神のバランスが歪んでいるひとを描くのがうまいけど、今回は読んでいて少しばかり不愉快だったなあ。


忘れていた頃にようやく到着した下町ロケットの続編です。
ロケットのバルブを作った前回とはちょっと異なり、今度は医療機器のための部品作りに奔走するのね。
どんな困難にも、先の見えない状況にもめげずに立ち向かい、そんなひとだからいい社員にも恵まれて、小さいながらも世界が驚くような技術を開発していく。佃社長が実在したら惚れそうですわ、なんて強くて優しいひとなんだろう。
胸のすくような結末も前回通り。池井戸さんの本は、今手に取る日本の作家さんの中で一番おもしろいかも。
佃社長に胸きゅんするほかに、もうひとり財前君に目から鱗のアドバイスをさらりとする帝国重工の安藤さんにしびれたわあ。「中小企業風情が医療機器の開発をするなど」とさんざ見下されてきて、国の認可を取るのも危ぶまれた計画も、帝国重工さんへ佃社長が持ちかけたバーターと安藤さんのアイディアで無事回り出すのだ。
医療機器というのは損害賠償問題になったら開発に投入した資金が取り戻せないばかりか、会社の存続が危うくなる。リスクを抱えてまで参入する会社は日本では少なく、認可を取るにしても時間がかかりすぎ、その間にせっかくできた製品がすっかり時代遅れになって使えなくなることがあるそうだ。こういうのをデバイスラグというそうで、技術があるのに生かせないジレンマや開発にかける膨大な資金が無駄になることも知らなかったなあ。
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